犬猫の「尿検査」について

愛するワンちゃん、ネコちゃんが健康で長生きするために、定期的な健康診断や日々の観察はとても大切ですね。
今回は、腎臓や泌尿器だけでなく、全身の健康状態を知る上で非常に重要な「尿検査」についてご紹介します。

 

ご自宅でできる！犬と猫の採尿の仕方

正確な検査結果を得るためには、新鮮で雑菌の少ない尿を採取することが理想です。愛するワンちゃん、ネコちゃんがリラックスして排尿しているタイミングを狙って、採尿してください。おススメの採尿方法をご紹介します。

1. 直接キャッチする

  • 方法: お玉やウロキャッチャーという採尿キットで尿を直接採取します。

  • ポイント: 排尿が始まったら、途中の尿を少量キャッチするのが理想です。

 

2. ビニールを敷く

  • 方法: 猫砂の上にラップなどのビニールを敷いたり、ペットシーツを裏返して溜まった尿を注射器やスポイトで採取します。

  • ポイント: 固まる猫砂や、吸収性の高いシーツに尿を吸わせてしまうと検査に適しません。猫の場合は、通常の猫砂ではなく、この方法で尿を溜めるように工夫してください。

 

3. 採尿シートを使う

  • 方法: ペット用品店などで販売している採尿シートを敷き、おしっこをしたらシートをビニール袋の中で絞り採尿します。

  • ポイント: シートを使うことで、清潔に尿を採取できます。

 

 ■注意点

  • 容器： 採尿に使う容器は、清潔なものをご使用ください。

  • 鮮度： 採尿後、できるだけ早く（１時間以内が理想）動物病院にお持ちください。

  • 保存： すぐにお持ちいただけない場合は、冷蔵庫で保存し（最大でも３時間以内）、凍らせないようにご注意ください。

 

■院内での採尿

  • 膀胱に尿が溜まっていれば、病院で採尿可能な場合もあります。（別途費用）

 

 

尿検査で何がわかるの？

尿検査は、単に膀胱の病気を見るだけでなく、全身の健康状態を知る「重要な手がかり」です。

検査項目 異常があった場合に疑われること チェックするポイント
尿比重（尿の濃さ） 腎臓病、糖尿病、ホルモン疾患（クッシング症候群など）、脱水 尿を濃縮する能力を見て、腎機能や飲水量を評価します。
尿pH（酸性・アルカリ性） 尿路結石、細菌性膀胱炎、食事の影響 結石（結晶）の種類によって適したpHが異なり、治療の指標になります。
尿蛋白 腎臓病（腎臓からのタンパク漏出）、膀胱炎、尿路の炎症 腎臓の機能低下を早期に発見できることがあります。
尿糖 糖尿病、特殊な腎臓病、ストレス（特に猫） 尿に糖が出ていると糖尿病の可能性が高まります。
尿潜血 膀胱炎、尿路結石、腎臓の出血、腫瘍 尿路のどこかで出血や炎症が起きていることを示唆します。
尿沈渣 膀胱炎、尿路結石症、腎臓病、腫瘍 尿を遠心分離して、結晶、細菌、炎症細胞（白血球）、赤血球、細胞などを顕微鏡で観察します。
ビリルビン・ケトン体 肝臓・胆道の異常、糖尿病、絶食 特にビリルビンは肝臓の病気、ケトン体は糖尿病の悪化などで検出されます。

 

■ 早期発見につながる主な病気

  • 腎臓病：特に猫では腎臓病が多く、尿検査（尿比重や尿蛋白）は血液検査よりも早期に異常を示すことがあります。

  • 膀胱炎・尿路感染症：尿沈渣で細菌や炎症細胞（白血球）を確認します。

  • 尿路結石症：尿沈渣で結晶の有無を確認し、尿pHや尿比重を参考に治療・予防に役立てます。

  • 糖尿病：尿糖やケトン体が検出された場合、強く疑われます。

 

こんな症状が見られたら、すぐに尿検査を！

ご自宅で、以下のような症状が見られたら、採尿して動物病院にご相談ください。

  • 頻繁にトイレに行く、または排尿回数が多い（頻尿）

  • おしっこを出しづらそうにしている、またはほとんど出ていない

  • おしっこの色がいつもと違う（赤っぽい、濃い黄色など）

  • おしっこが濁っている、またはキラキラした砂や結晶が混ざっている

  • おしっこの臭いが強い、またはいつもと違う臭いがする

  • 水を飲む量が急に増えた（多飲）

 

尿検査は、わんちゃん、ねこちゃんに負担をかけることなく、多くの健康情報が得られる大切な検査です。
日頃から尿の状態をチェックして、気になることがあればお気軽にご相談ください。