前十字靭帯断裂
前十字靭帯とは、膝の中にあり、下腿部の前すべりを防いでいる靭帯です。
大型犬では、体重・運動負荷によるものが多く小型犬では同じ理由以外に、膝蓋骨内方脱臼を放置して、不安定な状態の膝で運動を繰り返していたことによるものも多いと感じられます。前十字靭帯が断裂すると、特に内側の半月板を損傷することが多く、クリック音が発生し、ワンちゃんも痛がることが多くなります。
自己体験ですが、院長奥村も、サッカーで膝を酷使したため高校生のときには前十字靭帯一部断裂、40歳くらいから半月板がちょい割れしましたが、それなりの痛みがありました。
以下の症例は、他院で、もう膝蓋骨内方脱臼もひどいので治すことはできない、と言われ、膝蓋骨内方脱臼をGrade?で放置しておいた結果、前十字靭帯断裂・半月板損傷まで起こした例です。 当院に相談に来られました。
術前のレントゲン写真です。向かって左の右足のパテラ内方脱臼がGrade?で、パテラは滑車溝にのせることもできない状態で、右膝は前方滑り出しのため着肢歩行ができない状況でした。
術後です。半月板の処理、内側広筋解離、滑車溝のブロックリセッション、脛骨粗面外方移植、外側関節包・膝蓋支帯の縫縮、人工糸による関節外制動術などを組み合わせ、手術を完了。
下腿骨の前方へのずれもなくなり、1週間で歩行をはじめました。