仙腸関節脱臼・骨折
腰椎と骨盤をつなぐ仙骨の骨折や脱臼は、犬猫ともに、おもに交通事故か高所からの落下が原因です。骨盤(腸骨・寛骨臼 ・坐骨)を同時に骨折することも多くあります。
整復固定は手技になれた獣医師以外は難しいオペです。
主に、プレートスクリュー固定、仙骨へのラグスクリュー・キリシュナーピン挿入、腸骨翼でのロングボルト固定などを組み合わせ、骨盤腔の長方形構造を再建してあげることが重要で、放置すれば、歩行困難・大便の通過障害・後駆麻痺などを引き起こします。
症例 犬の右腸骨体骨折および左仙腸関節脱臼、右坐骨・恥骨骨折
M・ダックス、2歳、オス、交通事故
後肢を伸展した写真ではわかりにくいが、開脚位をとると左仙腸関節脱臼が明確に分かります。
大きな変位を整復し、プレートを尾側から装着
ドライバーでプレート最近位を押さえ込み、整復位を保って頭側に2.0/2.4mmスクリューを射っていきます。
右腸骨体の整復完了。ずれ・変位無し。
仙腸関節面を確認・整復し、1.0mmキリシュナーピンと4.0mm海綿骨スクリューを、腸骨体を通して仙骨のやや頭側かつ腹側方向に挿入して、しっかりと固定した。 この段階でレントゲンで確認し、骨盤腔の形状も元に戻り、腸骨翼もしっかり安定していたため、経腸骨翼ピンや坐骨の整復までは必要ないと判断してオペを終了。
オペ直後
4日目には起立・歩行可能。 主治医へ戻っていただく。 3ヵ月後の来院では、坐骨や恥骨の癒合も良好であることを確認した。
症例 猫の両側仙腸関節脱臼